防犯環境設計とは、犯罪が発生しにくい環境を創るために、人的な防犯活動(ソフト面)とあわせて、建物、道路、公園等の物理的な環境(ハード面)の整備、強化等を行い、犯罪の起きにくい環境を形成するという考え方をいいます。

防犯環境設計における4つの要素

対象物の強化

丈夫な錠や防犯ガラスなどで対象物を破壊に強く物理的に強化して侵入を未然に防ぐ。

「対象の強化」の「対象」は、犯罪企図者の標的、すなわち、金庫破りであれば金庫、自動車盗であれば自動車等をさす。また、「強化」とは、侵入・窃盗を目的とする破壊行為等が困難な部材や設備等を使用することによって侵入・窃盗等を免れ、また、その被害を最小限にとどめることをいう。

例えば、金庫は防盗用金庫にすること、出入口の扉はより頑丈な材質や施錠設備等を使用すること、窓ガラスに破壊が困難な合わせガラス等を使用すること、自動車のハンドルを駐車中固定化すること、ゴミ置場は放火による延焼火災を免れるように周囲を不燃化すること等があげられる。
「対象」には、対象物だけでなく、対象者を含める場合がある。また、「強化」には、「回避」を含める場合がある。

例えば、強制わいせつであれば、住戸内やエレベーターのかご内の異常を外部に連絡・警報する装置を設置すること、帰宅途中の女性や子ども等が緊急避難できる「子ども110番の家」を設置すること、深夜の公共バスの運行を増加すること等を例としてあげることができる。

接近の制御

境界を作って人が容易に敷地や建物に接近することを防ぐ。

「接近の制御」は、建物や道路等の配置計画や動線計画等により、犯罪企図者の動きを限定し、被害対象に接近することを妨げることをいう。なお、以下に述べる「監視性の確保」と「領域性の強化」は、間接的に接近を制御することとなる。

 例えば、敷地境界に柵を設置すること、建物の一階の窓等に面格子等を設置すること、バルコニーに接近しにくいように足場となるものを取り除くこと、通過車両が住宅地内を通り抜けできないようにすること、地下道の犯罪を予防するために時間帯によって通行を制限すること等があげられる。

監視性の確保

街路や窓からの見通しを確保し照明機器を改善し、人の目が周囲に行き届くような環境をつくり侵入を未然に防止する。

「監視性」とは、主として道路や敷地等の屋外各部及び建物内の共用部分における自然な監視性(受動的に備えられる監視性)をいう。「監視性の確保」は、犯罪企図者が犯罪行為を第三者に目撃されている又は目撃されているかもしれないと感じさせるものであり、防犯性を確保する上で最も基礎的で本質的な手法として広く考えられている。

 例えば、建物の出入口や建物内の共用部分等は、居住者や利用者等が自然に目を向ける部分が多くなるように周囲からの見通しを確保すること、夜間等において犯罪企図者の顔、行動を視認又は識別できるように照明設備を設置すること等があげられる。

 もちろんこれだけでは監視性を確保することが困難であることから、地域や建物の特性に応じて、管理人等により能動的な監視性を確保すること、防犯カメラや各種センサー等の「機械の目」により監視性を確保することも含める。

領域性の確保

住宅やその周辺の維持管理状況を改善したり、住民相互の活動や交流を促して部外者が侵入しにくい雰囲気を地域で形成する。

「領域」とは、居住者等が帰属意識又は共同意識を持つ範囲をいう。来訪者にとっては、居住者の「なわばり」や「テリトリー」を感じる場所である。防犯の側面から言えば、居住者と来訪者の区別ができ、来訪者が立ち入った場合に視線を送ったり、不審者に対して声をかけたりするエリアをさす。例えば、共同住宅の場合には、居住者の定住性や共用廊下・共用階段・エレベーター等の利用戸数の規模等と相関関係があるといわれている。

 「領域性の強化」とは、柵や扉等による物理的な領域の画定や明示だけでなく、玄関等のデザインや花・植木等による玄関周りの演出、共用廊下・共用階段・エレベーター等の維持管理等、外観の状態や生活行動によって心理的な領域を知覚させることにより居住者等の帰属意識を高め、又はコミュニティ形成を促進すること等をいう。

防犯環境設計を学ぶ

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